ついに本日中に私の手元にもiPhone 15が届くわけですが、今回はそのiPhone 15とiPhone 15 Proに搭載されるUSB-Cの詳細な仕様を見ていこうと思います。
比較
まず、もうほぼ結論が含まれたテーブルを提示して比較してみたいと思います。
Lightning | iPhone 15 USB-C |
iPhone 15 Pro USB-C |
|
---|---|---|---|
物理ピン数 | 16 | 16 | 20 |
有効ピン数 | 8 | 14 | 18 |
USB Rev | 2.0 | 2.0 | 3.2 Gen 2x1 |
通信 | 半二重 | 半二重 | 全二重 |
最大帯域 | 480 Mbps | 480 Mbps | 10 Gbps |
最大入力 | 27W | 27W | 27W |
最大出力 | 300mW | 4.5W | 4.5W |
映像出力 | 最大FHD | 最大4K | 最大4K |
音声出力 | 対応 | 対応 | 対応 |
基本的にLightningもUSB-Cも「データ転送」「音声出力」「映像出力」ができるという点ではどれも相違ありません。そもそもLightningが端子が異様なだけであって内部の信号としてはUSB 2.0に対応していたことから、LightningアクセサリはAppleから登場したLightning to USB-Cという奇妙なアダプタを用いればiPhone 15/15 Proでも使用することができます。
とは言っても、細やかな部分ではやはり違いが見られるものです。それぞれの違いと強化された点を見ていくことにしましょう。
電力出入力
LightningとUSB-Cの大きな違いとして出力が異なるという点が挙げれます。
iPhone 14以前のLightningでは、最大出力電力が300mWであったのに対して、iPhone 15のUSB-Cは最大4.5Wまで出力することが可能です。これによって、他のiPhone、Apple Watch、AirPodsが充電できるようになりました。ただ、出力自体は4.5Wと強くはないので急速充電などには対応しないものの、4.5Wで充電が事足りるデバイスであればUSB-Cに対応さえしていれば、問題なく充電することが可能です。
iPhone同士も充電することが可能で、Lightning iPhoneとiPhone 15/15 Proの場合は必ずiPhone 15/15 ProからLightning iPhoneに給電されます。iPhone 15同士の場合、電池残量が大きい方から小さい方へ給電が行われます。
出力が上がったことにより、別途電源を必要としていたiPhoneアクセサリがUSBのバスパワーのみで動作することが可能となりました。例えば、Razerのスマホ用クーラーがiPhone 15/15 Proのバスパワーで動作することが海外のXユーザーの投稿から明らかになっています。
Fun fact: Apple’s iPhone 15 Pro puts out enough power to power the Razer Phone Cooler so you don’t get overheating during gaming. This will keep your FPS up!
— Vadim Yuryev (@VadimYuryev) September 22, 2023
And it works well! This thing goes down to 12 degrees C and cooler!! pic.twitter.com/a80D786Pxq
おそらく、MIDIキーボードやマイク、キーボード、コントローラなどの互換性がこれまで以上に広くなっていることでしょう。
入力については引き続き27Wが最大となっており、急速充電には20Wが必要としています。なお、充電に必要な電力については公表されていないものの、A17 Proが最大3.5W程度消費するため、4W以上ないと給電より消費電力のほうが大きくなるおそれが高く、充電してても電池が減っていくことになります(あるいは充電されません)。
データ転送
続いてデータ転送。
データ転送は、iPhone 15とiPhone 15 Proで違いがあります。
まず、USBのリビジョンが異なります。iPhone 15ではUSB 2.0、iPhone 15 ProはUSB 3.2 Gen 2x1がそれぞれ採用されています。上記の表にある通り、これらの違いは同時通信の仕様と速度です。
USB 2.0はLightningでも採用された規格であるため、iPhone 15について、データ転送の性能でいうとiPhone 14から強化された点はありません。最大通信速度は480 Mbpsで、送信・受信を同時に行うことができない半二重となっています。
一方でiPhone 15 Proに採用されたUSB 3.2 Gen 2x1は、10Gbpsで通信することができます。また、全二重で双方向同時にデータ転送を行うことができます。
このことから、物理ピンの数はiPhone 15が14ピン、iPhone 15 Proが18ピンとなっています。
iPhone 15 Proではこの高速通信を利用して映像の録画を直にUSB接続のストレージに保存する機能が備わっており、一部の撮影設定ではこれが前提となっています。
映像出力
映像出力については、iPhone 15・iPHone 15 ProともにDisplayPort Alternative Mode(DP Alt Mode)に対応しており、対応ケーブルであれば変換なしで最大4K60Hzで出力することができます。Lightningでは1080p(フルハイビジョン)60Hzでの出力に限られるのでこれは強化点の一つと言えるでしょう。
ただ、HDRのオンオフがiPhone側になく、ディスプレイ側で調整する必要があるという点は若干戸惑います。
オーディオ出力
オーディオ出力に対応しています。もちろんDACなどにも対応しており、この部分についてはあまりLightningから大きな変更点はありません。
まとめ
まとめとしては、基本的にiPhone 15のUSB-Cは出力電力と映像出力が強化され、iPhone 15 Proはそれに加えてデータ転送自体が強化されました。
おそらく大半の人は、形状が変わったことに注目しているとおもいます。実際、私自身もMacとiPad、Winノートはケーブルを統一できていましたが、iPhoneができていなかったのでこれでついに統一完了です。あ、AirPods Pro。しばらく脱Lightningはできなさそう。