AMDは「Zen 5」アーキテクチャを採用した新しい「Ryzen 9000」シリーズを発表しました。
Ryzen 9000
「Ryzen 9000」シリーズは、Zen 5 CPUを採用した新しいコンシューマ向けRyzenシリーズです。
Zen 5では、分岐予測の精度向上、レイテンシの改善などによって性能が向上しており、最大16%のIPC向上が見られるとしています。Zen 5についてそれほど多くのことが語られたわけではありませんが、AVX-512のスループットが2倍となったことでAI性能も向上しています。IntelがまだAVX10をコンシューマ向けCPUに導入できていない状態を見ると、コンシューマーレベルでは若干AIの強さはAMDに軍配が上がりそうな気配はします。
では実際のRyzen 9000番台のラインナップを見てみましょう。
コア/スレッド | ベース クロック |
ブースト クロック |
L2+L3 | TDP | |
---|---|---|---|---|---|
R9 9950X | 16C/32T | 4.3 GHz | 5.7 GHz | 80MB | 170W |
R9 9900X | 12C/24T | 4.4 GHz | 5.6 GHz | 76MB | 120W |
R7 9700X | 8C/16T | 3.8 GHz | 5.5 GHz | 40MB | 65W |
R5 9600X | 6C/12T | 3.9 GHz | 5.4 GHz | 38MB | 65W |
今回のRyzenシリーズにもI/OダイにGPUを搭載しており、RDNA 2を2コア(CU)搭載しています。
性能については、Intel Baseline Profileを適用した競合のCore i9-14900Kと比較して、ゲーミング分野Horizon Zero Dawnで最大23%高い性能を、クリエイティブ分野では、Blenderで56%高い性能をそれぞれ実現していると述べています。
今回とくに面白いのが、Ryzen 7 7700XのTDPが105Wではなく、65Wである点です。このグレードのCPUで65WのTDPを実現したことによって消費電力や発熱の小ささをAMDはアピールした形になるのでしょうか。
なお、Ryzen AI NPUについては、デスクトップ向けRyzenにはまだ搭載計画はないようで、Ryzen 9000シリーズには搭載されていません。
AMD 800チップセット
また、AMD 800チップセットとして「AMD X870E」「AMD X870」という2つのチップセットを発表しました。
これらのチップセットはAM5ソケットのマザーボードに搭載されており、DDR5メモリをサポートしている他、USB4をデフォルトでサポートしている他、Wi-Fi 7もサポートしています。また、メモリOCについては、AMD EXPO Technologyもサポートしています。
X870EとX870はともにCPU直結のものと合わせて合計44レーンのPCIeを有しており、X870Eはそのうち24レーン(うち16レーンはGPU専用)はPCIe 5.0となっています。
AM5ソケットは2027年以降も
AMDは今後のプラットフォームのロードマップを更新し、AM5ソケットを2027年以降もサポートすることを表明しました。これがAM6(仮称)を投入してもAM5での製品展開を続けるという意味なのか、AM5を中心にした製品展開を続けるのかどちらにも取れるような内容ですが、おそらくAM6プラットフォームの投入がかなり先であることを示唆したような形になるでしょう。
もちろん、Ryzen 9000シリーズは、AMD 800シリーズチップセットだけではなく、BIOS更新は必要であると見られるもののAMD 600シリーズチップセットでも使用することができます。
発売
価格は現時点で発表されておらず、7月に発売される計画となっています。