
NVIDIAは、組み込み向けチップモジュールである「Jetson AGX Thor」を発表しました。
Jetson AGX Thor
「Jetson AGX Thor」は、「Jetson AGX Orin」の後継となる組み込み向けモジュール(System on Module / SoM)です。
GPUにはNVIDIA GB200などに採用されているBlackwellを採用しています。これによって、HPC向け製品から、ゲーミング、ワークステーション、そして組み込みシステムに至るまで、製品がBlackwellに統一されました。
性能は、最大2,070 TFLOSのFP4(スパース性)性能を実現しており、NVIDIAの公称では、現行モデルである「Jetson AGX Orin」と比較して7.5倍にまで向上しています。それ以外の性能では、INT8が1,025 TOPSとなっています。
また、Jetson AGX Thorには、最大14コアのArm Neoverse V3AE CPUを搭載しています。ArmのCPU IPでAEとつく製品は、ADAS(先進運転支援システム)に対応した製品であることを意味しており、同時に「DRIVE AGX Thor」の開発者向けツールもリリースされています。
メモリには128GBの256-bit LPDDR5Xを採用しており、メモリ地域幅が273 GB/sとなっています。Orinが204.8 GB/sでしたので3割程度の帯域の向上となります。
システム全体の消費電力は40~130Wで、Orin世代と比較して倍になっていますが、消費電力あたりの性能が向上しているとしています。
バリアント
| 開発者キット | Jetson T5000 | Jetson T4000 | |
|---|---|---|---|
| FP4性能 | 2,070 TFLOPS | 2,070 TFLOPS | 1,200 TFLOPS |
| GPU | Blackwell | ||
| GPUコア数 | 2,560 | 2,560 | 1,536 |
| Tensorコア数 | 96 | 96 | 64 |
| TPC | 10 | 10 | 6 |
| CPU | Arm Neoverse-V3AE | ||
| CPUコア | 14 | 14 | 12 |
| メモリ | 128GB | 128GB | 64GB |
| メモリ帯域 | 273 GB/s | ||
| ストレージ | 1 TB NVMe M.2 | PCIe NVMe対応 USB 3.2経由のSSD |
PCIe NVMe対応 USB 3.2経由のSSD |
| カメラ | HSBカメラ USBカメラ |
HSB 経由で最大 20 台のカメラを接続可能 16 レーンの MIPI CSI-2 経由で 6 台のカメラを接続可能 仮想チャネルを使用して最大 32 台のカメラを接続可能 C-PHY 2.1 (10.25 Gbps) D-PHY 2.1 (40 Gbps) |
|
| PCIe | M.2 Key M(Gen 5x4) M.2 Key E(Gen 5x1) |
PCIe Gen 5 x8 ルートポートのみ—C1 (x1) および C3 (x2) ルート ポイントまたはエンドポイント—C2 (x1)、C4 (x8)、C5 (x4) |
|
| ネットワーク | 5Gb Ethernet RJ45 QSFP28(4x 25GbE) x1 |
25 GbE x 4 | 25 GbE x 3 |
| ディスプレイ | HDMI 2.0b x 1 DP 1.4a x 1 |
共有 HDMI 2.1 x4 DP 1.4a HBR2、MST |
|
| その他IO | QSFP コネクター M.2 Key E 拡張スロット (WLAN/BT、PCIe x1、USB2.0、UART、I2C、I2S) M.2 Key M コネクター (ストレージ用 NVMe) PCIe x4 レーン、I2C、PCIe x2 レーン 13 ピン CAN ヘッダー x2 6 ピン 自動化ヘッダー x2 LED JTAG コネクター (5 ピン ヘッダー x2) ファン接続コネクター x1 —12V 、PWM、Tach オーディオ パネル ヘッダー (5 ピン x2) Microfit パワー ジャック RTC バックアップ バッテリー コネクター 2 ピン |
I2S/2x オーディオ ハブ (AHUB) x5 DMIS x2 UART x4 CAN x4 SPI x3 I2C x13 PWM 出力 x6 |
I2S/2x オーディオ ハブ (AHUB) x5 DMIS x2 UART x4 SPI x3 I2C x13 PWM 出力 x6 |
| 消費電力 | 40~130W | 40~130W | 40~75W |
新しいJetsonは、「Jetson T5000」と「Jetson T4000」に加え、開発者キットの「Jetson AGX Thor開発者キット」が提供されます。
Jetson T5000と開発者キットの性能は同じですが、インターフェイスなどがに差異があります。
Jetson T4000はCPUやGPUが削減されていたり、メモリが64GBになっていたりしています。また性能も低めで、FP4性能も1,200 TFLOPSとなっています。
発売と価格
価格は、Jetson T5000が2,999ドル(約44万2千円)、Jetson T4000 が1,999ドル(約29万5千円)、開発者キットが3,499ドル(約51万6千円)となっています。
Jetson T5000と開発者キットはすでに販売を開始しています。
日本では、マクニカや菱洋エレクトロなどの代理店が販売を行います。
関連リンク
- NVIDIA Jetson Thor Unlocks Real-Time Reasoning for General Robotics and Physical AI | NVIDIA Blog
- NVIDIA Rolls Out DRIVE AGX Thor Developer Kit to World’s Automotive Developers
- Jetson Thor | フィジカル ロボティクス向けの最先端 AI | NVIDIA
- マクニカ、NVIDIA Jetson T5000モジュール、 NVIDIA Jetson AGX Thor 開発者キットの取り扱いを開始 - AI事業 - マクニカ
- NVIDIA Jetson AGX Thor™ 開発者キット|菱洋エレクトロ
- NVIDIAは組み込みAIボードもBlackwell世代へ、2070TFLOPSの「Jetson AGX Thor」:人工知能ニュース(2/2 ページ) - MONOist