この記事では、最近のRapidus周りの話題を集めました。
Rapdusの沿革
2010年代以降、TSMCやSamsungの台頭に加えて、AMDやApple、Qualcomm、NVIDIAなどのファブレス企業が成功を収めたことから、半導体設計と製造が合体したIDMから、設計と製造が水平分離した形態が主流となりつつあります。その中で日本の大手企業は合弁でRapidusという会社を立ち上げました。
Rapidusは、日本の半導体製造企業で、北海道に製造拠点を建設中です。IBMの協力の基、2027年までに2nmの製造を開始する予定です。
個人的に、米国でのIBM vs GlobalFoundriesの訴訟の行方が気になるところですが、日本ではそんなに騒がれてない印象があります。春以降、目立ったニュースがないこの訴訟、IBMが敗訴するとRapidusの計画がわりとグダる気がしますがどうなるのでしょうか。
すげーメンツと会談
日本時間14日、日本の西村経済産業大臣がRapidusやApple、AMD、NVIDIA、Western Digital、Tenstorrent、Supermicro、Microsoftの重役と会合を開きました*1。西村大臣はNVIDIAに対してGPUの供給の協力の要請などを行った、Rapidusへの提携の言葉をもらったとしています。
日本政府は半導体関連企業の重役との会談の回数を増やしています。その目的というのは、集められたメンバーで結構わかりやすくなっていて、例えば、以前行われた会談では、TSMCやSamsung、Intel、Micronといった製造を行う企業が集められ、日本国内への半導体製造事業への投資を求めるものでした。
今回の企業のメンツを見ていると、わかりやすくファブレス企業を集めたという印象があります。AppleやAMDがいてMicronやIntelが居ないのが結構わかりやすくていいですね。西村大臣によれば、Rapidusの小池淳義CEOから、同社の進捗状況の説明があったとしており、おそらくRapidusでの製造勧誘の目的があることがわかります(Western Digitalは単純にKIOXIAの話聞きたかったのかな?)。
実際、TSMC 1社独占についてはAMDやNVIDIAにとってはかなり喫緊の課題となっているようで、NVIDIAはAmpere世代のGA102以下のコアをSamsungのプロセスで製造した他、AMDもSamsungプロセスの利用を検討していると見られています。そうした中で選択肢が増えることは各社歓迎でしょう。また、2027年の2nm開始はTSMCと近いスケジュールであり、注目が集まっています。
Tenstorrentと提携
ジム・ケラー氏がCEOを務めるRISC-VやAIチップのスタートアップ企業、Tenstorrentも西村大臣のラウンドテーブルに呼ばれていますが、その後、RapidusとTenstorrentが提携したことが明らかにされています。ジムケラー氏といえば、AMD・Apple・Intelを渡り歩き、様々な功績を上げてきた半導体設計の第一人者です。
TenstorrentとRapidusは、2nmプロセスベースのAIエッジデバイス領域でのIPに関するパートナーシップに関して合意したとしており*2、おそらくRapidusが稼働すればTenstorrentの製品が製造されることになるのでしょう。
1nm製造の報道
Tom's Hardwareによると、日本経済新聞は、Rapidusと東京大学などの国立大学、理化学研究所などで構成された最先端半導体技術センターがフランスのLeti研究所とともに1nm〜1.4nmの製造プロセス技術の研究を進めていると報じています*3。
実際に実用化されるのは2030年代になる見込みですが、とても興味深いと思います。
現時点で、TSMCやSamsungの1nmの道筋というのは不明ですが、今後、TSMC・Samsung・Intel・Rapidusによる先端半導体サプライチェーンができたらとても面白いものになるんじゃないかと思います。