ユニバーサルカレッジロンドン、6Gの実験で938Gbpsという脅威の通信速度が実現したと報告

3行まとめ

5Gが登場してはや4年が経過し、普及フェーズもほぼ終わりかけ標準的になってきています。その一方で、次世代の移動通信システムである6Gについても研究開発が進んでいます。ユニバーサルカレッジロンドン(UCL)の研究者らは、6Gの実験にて938 Gbpsの転送速度を実現したと発表しました。

6G

6Gは第6世代移動通信システムで、次世代の通信規格です。現状「何も決まっていない」状態ではあるものの、展望として現在のミリ波(mmWave)よりも高い周波数、可能性として3桁GHzにもなる周波数帯を利用することでより高速なデータ転送や帯域を実現します。

5Gでは、低遅延や高速化が主な主題となりましたが、日本の通信事業者はこれに加えて、6Gを通じた無線充電や5Gでも重要視された多数接続などの強化が主眼となっています。結論としては、無線の周波数をめっちゃ挙げてできること全部しようぜという感じ。

さらに、地上という領域だけでなく、陸海空と宇宙の領域にもネットワークを構築する動きもあります。

6Gでは現在有線で行われている基地局間の通信自体も無線で行う計画があり、それも踏まえると100Gbps以上の帯域が必要です。

938 Gbps

5Gの理論帯域は20 Gbps程度です。*1実効値では、大体4Gbps程度が最大であると見られており、平均でも1Gbps〜2Gbps程度の帯域が標準となっています。

4Gの理論値が、1 Gbps程度なので、世代間で実に20倍程度の性能向上があったことになります。これは5Gから6Gにかけても同様で、大幅な通信帯域の向上が期待されているのです。

そんななかでUCLのZhixin Liu氏の研究チームは6Gの実験にて938 Gbpsの通信を実現したと述べています。

同研究チームは、直交周波数分割多重 (OFDM)を利用した145GHzでのデータ転送に挑戦しました。2組のレーザーを周波数ロックし、安定した信号を生成することで、位相ノイズを低減し、スペクトラムを最大限に活用しました。

フリーランニングレーザーと比較してキャリア周波数が安定し、位相ノイズが低減されたWバンドおよびDバンド信号を生成し、スペクトルの利用を最大化しました。OFDMフォーマットとビットローディングを使用することで、研究者らは、異なるRFおよびmm波帯間のギャップが300MHz未満で、938Gbpsの伝送データレートを実現しているとのこと。

前段落の内容は私自身、あまり理解しているわけではありませんが、75 GHz〜110 GHzのWバンドと、110 GHz〜150 GHzのDバンドを共通の発振器で生成することで安定した通信を実現したということみたいです。

6Gの動き

6Gの実用化はすぐではなく数年後ということになりますが、今回の発表は、世界最速の通信を実現する6Gへの道筋を示しました。

前述の通り、現時点で6Gについては何も決まっていない状態ですが、高速化するという点は規定事項です。

日本では、NTTや富士通、NECなどが開発を進めていまし、中国では1Tbpsをターゲットとした研究が行われています。

米国では、QualcommやVerizonも6Gについて言及しています。

6Gは近い将来には仕様が策定される見込みですが、現状は各国が自前の技術を活かして、6Gの仕様策定に関与する動きが中心となっています。

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