Qualcommは、「Snapdragon 8 Elite」SoCを発表しました。
Snapdragon 8 Elite
「Snapdragon 8 Elite」はSnapdragon 8 Gen 3の後継となるスマホ向けSoCです。Qualcommは、PC向けSoC「Snapdragon X Elite」にてOryonという独自設計のCPUコアをリリースしましたが、それが進化し「第2世代Oryon」が今回採用されています。Qualcommが独自設計のCPU IPをスマートフォン向けSoCに採用するのはこれが初めてです。
CPU
第2世代Oryonは、 第1世代OryonがPC向けの性能重視であったのに対して、効率も重要視されているモバイル特化の設計となっています。
そのCPUは8コアで構成されており、4.32 GHzで駆動するプライム(prime)コアが2基、3.53 GHzで駆動する性能(Performance)コアが6基で構成されています。
また、このCPUでは、従来のCortexとは違いコアごとのキャッシュではなく、L1キャッシュはコアごとに配置されているものの、L2キャッシュが共有キャッシュとなっています。具体的にはプライムコアと高性能コアでそれぞれ12MBずつ共有する合計24MBのキャッシュを搭載しています。
この関係を見ると、OryonのヘテロCPUはAMDのZen 5/Zen 5cの関係に近く、キャッシュの容量に差があるように見えますね。
CPUの性能はシングル・マルチともに45%という大きな性能向上を果たしており、ブラウジングでは62%高い性能を発揮するようです。
GPU
また、GPUは新しい3段階のスライスエンジンを搭載しており、ゲーム性能は40%の性能向上、35%のレイトレーシング性能向上となっています。また、Unreal Engineなどに対応しており、AAAタイトルにも対応しています。
NPU
AIとHexagon NPUですが、6コアのVector Engineと8コアのScalar Engineを搭載しています。理論性能は明らかではありませんが、45%高いNPU性能となっています。
また、スタンバイ中の音声認識などのためにQualcomm Sensing Hubも強化されており、前世代に比べて性能が60%、メモリ容量が34%向上しています。
ISP
Spectra ISPには3つの18-bitが搭載されており、最大320MPのシングルカメラあるいは、3基の48MPカメラ、最大8K60fps撮影、最大1080p380fpsスローモーション撮影に対応しています。更に、Dolby Vision、HLG、HDR10、HDR10+、Google Ultra HDRといったHDR規格にも対応しています。
コネクティビティ
Snapdragon X80モデムを搭載しており、上り最大3.5 Gbps、下り最大10 Gbpsの5Gに対応、mmWaveやSub-6、NRに対応しています。
さらに、衛星通信にも対応しています。
また、FastConnect 7900を搭載しており、Wi-Fi 7やUWBにも対応しています。特筆すべきはBluetooth 6.0にも対応しているというところで、新世代製品ではPC含めて唯一の対応となる見込みです。
Wi-Fi 7の最大速度は5.8 Gbpsとなっています。
UWBにも対応しており、IEEE 802.15.4z、Fine Ranging(FiRa)に対応しています。
USBはUSB 3.1 Gen 2のサポートにとどまっています。
メモリ
メモリは最大5.3 GHzで駆動するLPDDR5xメモリのサポートにとどまりました。
製造
Snapdragon 8 Eliteは、第2世代TSMC 3nm(N3E)で製造されており、電力効率も向上しています。パッケージで27%、CPUでは44%、GPUでは40%電力効率が向上、ワットあたりのAI性能は45%向上しています。
搭載デバイス
搭載デバイスはASUS、Honor、iQOO、OnePlus、OPPO、RealMe、Samsung、Vivo、Xiaomiなどから今後数週間いないに登場する予定です。
おそらく、来年の早い段階に日本でも利用可能になる見込みとなっています。