【編集後記】Framework LaptopにRISC-Vオプションが来てた。

本日の内容

Framework LaptopにRISC-Vのオプションが追加されていました。個人的には面白そうなのでちょっと見てみましょう。

Framework Laptop RISC-V

「Framework Laptop」は、何から何までもを交換できるというPC。昨今「修理する権利」が叫ばれていますが、この主張に最大限沿ったとも言えるPCです。交換できるのは、メモリやストレージにとどまらず、キーボードやディスプレイ、ヒンジや筐体、外部ポート、更にはメインボードまでもを交換することが可能。さらには、自分で3Dプリントしたり設計したモジュールを組み込めます。

裏返せば何から何までオープンなこのPC、ソフトウェアもWindowsがデフォルトではなく、UbuntuやFedoraなどのオープンソースなOSを採用することも可能なわけです。

メインボードは実質的にCPUを選ぶことができるということと同義。通常のFremework LaptopモデルではAMDあるいはIntel CPUを選択する事ができます。しかし、2月に登場したのはStarFiveの「JH7110」プロセッサを採用したDeepComputingが開発するメインボードです。

Framework | Mainboard (DeepComputing RISC-V)

JH7110は、SiFiveの「SiFive U74」というRISC-V CPUコアを採用したプロセッサです。

RISC-Vは、RISCタイプのCPU ISAで、オープンソースで開発されているのが特徴。x86やARMと並ぶ新しいISAになることが期待されているものです。

ここで、登場人物がややこしいので整理しておきましょう。まず、StarFiveは中国のファブレス半導体企業で今回はプロセッサを作っています。SiFiveはアメリカのファブレス企業で今回はCPU IPを作っています。

ところで、JH7110はNishiki-Hubではこれが初登場ではありません。Milk-Vが開発するSBCに搭載されているプロセッサだったりします。

なんなら、DeepComutingはDC-ROMAの開発者でもあります。

とまぁ、RISC-Vではすでに実績のあるチームが開発したメインボードをFremework Laptopが採用したというわけです。

RISC-Vのエコシステムは徐々に拡大しつつあるものの、やはりまだ現実で一般使いできるほど環境が整っているわけではありません。そもそもの問題は、RISC-V搭載製品が少ないこと。実際Frameworkは、これを一般消費者向けで用意したわけではなく、RISC-Vを中心としたソフトウェアエコシステムの成熟を加速させるための開発者向けであると述べており、消費者向けは将来の製品に期待することを勧めています。

RISC-V

とはいいつつ、RISC-Vは浸透してきてはいます。例えば、Alibabaは昨年その存在を明らかにしている「Xuantie C930」の設計を明らかにし、5年後以降に主流なクラウドアーキテクチャとなると予想しました。

RISC-Vの流行の中心は、あらゆる制裁によって米国の技術が使えなくなる可能性がある中国で、主なベンダーはAlibabaやStarFiveなどの中国企業となっています。そして中国は、米国に依存しないエコシステムの構築に乗り出しており、近い将来、Androidベースから脱却したと言われる「HarmonyOS NEXT」にAIプラットフォームとしてDeepSeek系LLMを採用し、RISC-V系あるいはLoongArch系CPU、Moore Threads系GPUという中国エコシステムが台頭する可能性もあります。

どうなるんだろうね・・・。

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